山田耕筰「序曲 ニ長調」1912年作曲

「赤とんぼ」や「ペチカ」、「からたちの花」、さらには坂井市春江小学校の校歌など、歌の分野では我々に大変馴染みの深い作曲家・山田耕筰。この「序曲」は、山田が25歳頃のベルリン留学中に課題曲として作曲した作品である。記録が残る中では日本人が書いたはじめての管弦楽作品とされ、我が国の音楽文化を考えるうえで重要な作品。モーツァルトやシューベルトを思わせるすっきりとした構成のなかで、この作曲家ならではの「歌」が明るい響きとともに溢れ出す。

アレクサンドル・ボロディン 歌劇『イーゴリ公』より「韃靼人の踊り」1879年頃作曲

化学の分野でも秀でた業績を残したロシアの作曲家、ボロディンの傑作。歌劇「イーゴリ公」第2幕において、宴席の余興として繰り広げられる壮麗な舞踏がこの「韃靼人の踊り」である。冒頭で、「私たちのふるさとの歌よ、風の翼でふるさとまで飛んでいけ」という歌詞を伴った望郷の旋律が奏でられたのち、思わず身体が動いてしまうような数々の踊りが展開される。心踊るリズムと印象的な旋律ゆえ、数あるクラシック音楽の中でも古今を問わず愛奏・愛聴されてきた。サンクトベテルブルクにあるボロディンの墓石には、この「韃靼人の踊り」の楽譜が刻み込まれているという。

ピョートル・チャイコフスキー 「ピアノ協奏曲第1番」1874年-75年作曲

たった数小節で聴くものを虜にするチャイコフスキー。本曲は、その天才的才能が遺憾無く発揮された作品であり、ピアノ協奏曲というジャンルのなかでも特別に有名な音楽であろう。冒頭のホルンを聞けばたちまちにその世界に引きずり込まれ、陶酔と高揚が次々と押し寄せる。第一楽章は演奏に20分近くを要するスケールの大きな楽章。ピアノの重厚な和音と管弦楽の「歌」があわさって独特の響きが生み出される。第二楽章はフルートの伸びやかなソロと、フランスの古いシャンソンから取られたワルツ風の中間部が印象的な緩徐楽章。第三楽章は、ロシア農民にとっての「春の喜び」をあらわす民謡を用いた、躍動感に満ちた舞踏的な楽章。ピアニストとオーケストラが相互に高め合い、超絶技巧とともに圧倒的なフィナーレに至る。

文:木許裕介(日本海フェスティヴァルオーケストラ芸術監督・首席指揮者)

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みくに未来のピアノウィーク2020